れの分野についてもダルハウジイ大学と密接な協力・交流を行っている。なお、当センターが平成3年11月に開催した「国際シンポジウム」に、カナダを代表する海洋研究所として本研究所の所長及び副所長を招聘した。しかし、現在、本研究所と具体的な協力項目は持っていない。
(2)訪問概要
この度は、ダルハウジイ大学のMarlon Lewis教授の案内で、平成8年5月22日、本研究所を訪問し、J. A. Elliot海洋科学部長、A. Herma海洋科学部主任研究員、Paul Bellemare部長(カナダ水路協会)、B. Nicholls海洋環境科学部、主任研究員及びK. Moran主任研究員(カナダ大然資源省・地質調査所)に面会して、意見交換を行った。当研究所が漁業海洋省に所属することより、全般的に水産分野を中心とした海洋物理、化学、生物分野及び沿岸航行の安全のための水路情報、ならびに沖合海底石油・ガス資源探査の分野など、広範な分野の研究開発を総合的かつ一元的に推進していることが感じられた。また、これらの研究を推進するために必要な技術についても熱心に研究を進めており、開発が成功した技術については次々に民間に技術移転して、民間において製品化しているとのことであった。施設・設備の見学においては、
・A. Herman博士、N. Cocharn博士による「バットフィッシュ(曳航式動物プランクトン観測装置)」、自己昇降型海洋観測用係留系及び自由落下型塩分一水温計などあらゆる手段を用いて観測を行う意欲に感銘を受けた。また
写真-4ベドフォード海洋研究所全景(同研究所のパンフレットより)
・L. Payzant女史によるNOAA衛星データ受信装置、
・K. Moran博士による木研究所におけるODPとしての海底掘削研究及び採取したコアの処理・管理施設、
・P. Bellemare部長によるカナダ・大西洋側の沿岸海底地形観測及びこのデータ処理、及び本情報の提供についての説明を受けた。なお、これらの詳細についても執筆者にお問い合わせ頂きたい。本研究所は、所掌からいえば大西洋側であり、当センターと共通の海域における海洋観測研究の課題はない。しかし、本研究所の有する各種の観測技術及び研究能力は高く、今後は機関間の交流を研究者レベルにおいてでも、より活発にすることが必要となるであろう。
5. カナダ海洋科学研究所訪問
(1)研究所の概要と当センターとの関係
カナダ海洋科学研究所(Institute of Ocean Science:IOS)は、カナダ・ブリティシュコロンビア州バンクーバー市の対岸にあるバンクーバー島の州都ビクトリア郊外の空港のすぐ隣に位置し、フィヨルドによって造られた素晴らしい景色の静かな入江に面して所在している。本研究所は、ベドフォード海洋研究所(BIO)と同様に漁業海洋省の所管する国立の研究所であり、1975年設立され、研究者と技術者を含めて約250名の職員(多くは「出向」)、5隻の船舶(運用はCoast Guard)、5,000m級ROVを有して、約30億円の予算により、太平洋を中心とした海洋の研究と水路情報の提供を行っている。研究分野としては、海洋の物理、化学、生物などの基礎科学分野と、これらを支える技術として所響を中心とした海洋工学を推進している。
IOSの組織として資源評価部、海洋環境・生育科学都、海洋科学・生産性研究部、養殖研究部及び水路部があり、これを図‐4に示す。また、同じ建屋に太平洋地球科学センターとカナダ水路協会が所在しており、IOSとの密接な連携のもとで、海洋地質、地球物理の研究及び海図の作成・提供などを行っている。
現在、当センターは、本研究所とは正式な共同研究や研究協力課題を持ってはいないものの、本研究所がカナダの太平洋側の海洋科学に関する総合的研究機関であり、また、北太平洋海域における海洋物理現象、物質循環ならびに太平洋プレートの挙動など共通の研究課題に対して重要性を認識することから、研究者間における交流は進められている。このような状況から、昨年12月より、
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